玉蔵院(ギョクゾウイン)

玉蔵院(ぎょくぞういん)は、真言宗豊山派のお寺で、その創建は平安時代まで遡ると言われています。宝珠山玉蔵院延命寺と称して弘法大師が創設したと言われています。中世の頃には、印融法印(室町時代の日本の学僧)が玉蔵院(ぎょくぞういん)に留まり中興(再び盛んにすること)し、京都醍醐寺三法院の直末となりました。このときのことが印融著の「杣保隠遁鈔」にて「浦和(浦羽とも)延命寺」と書かれています。これは「浦和」という地名が出てくる最初の記録になります。永正11年(1514)のことです。

玉蔵院(ぎょくぞういん)の紹介

門前通り


玉蔵院(ぎょくぞういん)は、浦和駅が最寄駅となります。浦和駅西口をまっすぐ17号に向かって進みます。浦和駅西口交差点を右折し、真っ直ぐ進むと左手に門前通りという石畳の通りがあります。こちらから入るのが良いかと思います。

玉蔵院の山門


石畳を進むと正面に玉蔵院(ぎょくぞういん)の山門が見えてきます。この山門は享和3年(1803)から6年間の間に建立されたもので総ケヤキ造りの四脚門になります。

南無大師遍照金剛


山門の左側には、南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)があります。遍照金剛というのは弘法大師のことです。これは宗派の教えの根幹となる短いお経のことだそうです。南無とは「帰依する」という意味で、「弘法大師に帰依する」という弘法大師を拠り所として生きていくという意味になるそうです。

玉蔵院(ぎょくぞういん)の山門は、現在は通れないようになっているので、右側から回るこむ形となります。玉蔵院(ぎょくぞういん)の山門内は、法事関係者の専用駐車場にもなっていました。

鐘楼門


玉蔵院(ぎょくぞういん)の山門内には、鐘楼門がありました。写真では見えにくいですが、鐘もありました。

埼玉の四季


阿部静枝作と書かれた「埼玉の四季」がありました。歌人のようですが。

小谷野伝蔵顕彰之碑


山門の左側になりますが「小谷野伝蔵顕彰之碑」がありました。小谷野伝蔵とは、大正から昭和の政治家で埼玉県浦和市長だったようです。

中門


本殿


玉蔵院(ぎょくぞういん)の山門から道路を渡った反対側に中門があり、その先に本殿があります。玉蔵院(ぎょくぞういん)の本殿は元禄12年(1699)に一度焼失し、元禄14年(1701)に復興されたものです。玉蔵院(ぎょくぞういん)の本尊は大日如来坐像になります。本堂の前には石橋があります。画像で正面にかかっている木は枝垂れ桜で、開花時期は見事な花を咲かせるのだとか。

玉蔵院(ぎょくぞういん)本殿右側には枯山水がありました。枝垂れ桜が開花する時期はここも含めて綺麗な風景になりそうですね。

玉蔵院の地蔵堂


本殿の左手側にあるのが玉蔵院(ぎょくぞういん)の地蔵堂です。安永9年(1780)建立の三間仏堂です。軸部はケヤキ材、端は円柱、柱上は三手先(みてさき:寺院建築の組物形式の一つ)の斗栱 (ときょう:組物のこと)で桁を受けているとのことです。市指定有形文化財に指定されています。

欄間の彫刻や天井に花鳥(写真に撮れなかった)を描くなど、多くの装飾があります。

木造地蔵菩薩立像(玉蔵院の解説より)


地蔵信仰の寺として長い歴史がある玉蔵院(ぎょくぞういん)の地蔵堂には、平安時代の作の木造地蔵菩薩立像があります。県指定有形文化財に指定されており、地蔵堂の本尊となります。一本造りの彫眼で内刳(内部を刳り抜くこと)はないそうです。地蔵菩薩像としては県内最古の作品と言われています。

玉蔵院(ぎょくぞういん)の文化財

木造地蔵菩薩立像、玉蔵院地蔵堂(先に記載)

両界曼荼羅(玉蔵院の解説より)


絹本着色両界曼荼羅は、室町時代に入ってからの作と言われており、県指定有形文化財に指定されています。

玉蔵院(ぎょくぞういん)には、多くの古文書があり、最古のものは鎌倉時代の嘉禎(かてい)二年(1236)の道教付法状(付法:師が弟子に教えを授け後世に伝えさせること)。その中にある328通の印信類が一括で玉蔵院文書として県指定文化財に指定されています。酒井忠世書状・玉蔵院寺領寄進条および朱印状は市指定有形文化財に指定されています。


守護侍不入石杭(市指定 有形文化財)。天正19年(1591年)のものです。これは少しわかりにくいところにあり、本殿への入口の右側にもう一つ広めの入り口があります。そこから中にはいって奥右手にあります。侍は使の誤を言われています。守護使不入(しゅごしふにゅう)とは、守護やその役人に対して犯罪者追跡や徴税のために、特定の公領や荘園などに立ち入る事を禁じたことを指すようです。玉蔵院には、徳川家康から寺領十石と寺中不入を認めた寄進状が出されていますので、それに由来しているものかと思います。

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