2021年現在、武蔵浦和駅周辺では、沼影小学校・浦和大里小学校・内谷中学校そして、沼影市民プールを解体し義務教育学校の設置が計画されています。本記事では、現状の状況を”知ってもらう”ために「武蔵浦和なび」が調べた情報を掲載していこうと思います。私に関しては「別所沼公園のPark-PFI」など、”知らないうちに”と感じてしまった出来事があったので、まずは”知ってもらう”ということを目的としてこの記事を書いています。まずは”知って”ください。
計画の経緯
武蔵浦和駅周辺は再開発の影響もあり、マンションの建設ラッシュで児童・生徒数が増加傾向にあります。
すでに武蔵浦和駅周辺の小学校では児童数の増加が問題となっています。浦和別所小学校が過大規模校、沼影小学校、浦和大里小学校、西浦和小学校、内谷中学校が大規模校となっています。(令和2年時点)この状態からさらに浦和別所小学校・浦和大里小学校・西浦和小学校については今後も児童数増加が見込まれており、教育に支障をきたす前に対策を講じる必要に迫られています。
学校名 | 児童生徒数 | 学級数 | 学校規模 |
---|---|---|---|
浦和別所小学校 | 1,097 | 31 | 過大規模校 |
沼影小学校 | 1,099 | 30 | 大規模校 |
浦和大里小学校 | 894 | 26 | 大規模校 |
西浦和小学校 | 873 | 25 | 大規模校 |
辻小学校 | 572 | 18 | 適正規模校 |
内谷中学校 | 969 | 25 | 大規模校 |
※学級数は通常学級のみ
※「武蔵浦和駅周辺地区小・中学校 過大規模校・大規模校の解消について」より。令和2年5月1日時点
また、令和3年度12月22日の代表保護者説明会資料では、1人あたりの校庭面積にも触れられており、市平均から大きく乖離していることも説明がありました。
現状、さいたま市(特に再開発地域)としては現在子供は増加傾向にありますが、日本全体しては減少傾向にあります。この地域にもいずれ少子化の波がくるかもしれません。単純に地域に不足分の学校として小学校・中学校を1校ずつ開校というのは将来的に過剰な施設となる可能性もあります。そのことから、小中一貫の義務教育学園という構想が出てきているように思います。
平成28年4月施行の学校教育法改正により、学校教育制度の多様化及び弾力化を推進するため、現行の小・中学校に加え、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」の制度が創設となりました。これにより、6-3年制にとらわれない自由な学年編成が可能となり、地域の実情や児童生徒の実態などの様々な要素に合わせた教育の実現が可能となりました。もし仮に実現すると、2,000人を超える規模の国内最大級の義務教育学園となる可能性もあるそうです。これらを「武蔵浦和学園」と称するような記載も見つけましたが定かではありません。伊奈町にある「伊奈学園総合高等学校」が3,000規模のマンモス校なのでそれと同等のレベルになりますね。
沼影市民プールの廃止について
令和3年8月26日・28日において、説明会が開催されていたようです。
あくまで資料のみを参照しているため、誰を対象にしたのかなどについてはわかりません。
沼影市民プールは、プールおよびアイススケートについて令和6年3月末をもって廃止が現時点では決定されています。令和6年度より解体工事が始まるとのことです。解体後、沼影小学校の敷地と合わせて、義務教育学校とスポーツ施設等が設置される想定となっています。現在は沼影公園が約2.4ha、沼影小学校が約1.7haです。計画では義務教育学校(北側)が約3.1ha、スポート施設等が約1.0haとなるようです。
沼影市民プールの廃止に伴う「レジャープールの方向性の整理」に関しては令和5年度を目処に検討がなされるようです。
義務教育学園について
沼影小学校・浦和大里小学校・内谷中学校を統合する計画になります。沼影小学校および沼影市民プールを解体した跡地に新設校を開校して、浦和大里小学校・内谷中学校を含めた3拠点による小中一貫義務教育校とする計画のようです。義務教育学校は4-3-2年制とする方針のようです。現時点での私の情報では、1〜4年生が通う2校舎、5〜9年生の通う1校舎となるようです。浦和大里小学校および内谷中学校の現校舎にて1〜4年生が通学する見込みで、5〜9年生が沼影小学校および沼影市民プールを解体した跡地に新設される新校舎となる模様です。内谷中学校は1〜4年生が通う校舎となる予定なので、開校に合わせて1〜4年生向けとなるように改修工事が計画されているようです。
義務教育学校の設置イメージとして、4-3-2年制を取る方針で、1〜4年生にて「学びの基盤固め」、5年生から教科担任制とし7年生(中学1年生)に向けての確かな橋渡しを実施。8〜9年生にて教科横断的学びと地域・大学・企業等との連携をはかっていくようです。すでにさいたま市の小学校では始まっていますが、タブレットなどを利用したICT教育のさらなる推進も検討されているとのことです。義務教育学校ではイメージとして大きく3つの学校が集まって大きな学校となる形になります。それについてユニット制というものを導入し、それぞれの学校が単体で成り立ち、かつ、ユニット間での多様性に富んだ交流活動を目指すとのことです。これに関しては埼玉県のマンモス校である「伊奈学園総合高等学校」のハウス制に近いものかと思いました。あの高校は1つの学校に1つの中学校・5つの高校がそれぞれハウスという形で学校を形成しており、それらがまとまって「伊奈学園総合高等学校」という形となっています。各ハウス単位に校長・職員室・生徒会などが設置されており、体育祭や文化祭はハウス対抗になっています。おそらく、これに近いものを目指すのではないかと思います。
学区についてですが、こちらも見直しが行われる予定とのことで、浦和別所小学校・西浦和小学校・辻小学校を含めて協議が行われるとのことです。浦和別所小学校が過大規模校となっていることが根本にあるので、現在、浦和別所小学校の学区に指定されている地域が義務教育学園の学区に変更されることはありえそうですね。
沼影小学校および沼影市民プールにできる予定の新設校は令和10年度の開校が見込まれています。
計画の進行について
すでに基本計画は進んでおり、関係者などに向けた説明会が進められているようです。令和3年11月時点で、学校関係者やPTA会長に向けての説明は実施され、2022年1月より、保護者に向けての説明会開催されています(武蔵浦和駅周辺地区義務教育学校建設事業について)。保護者説明会では(5)令和3年度12月22日の資料をベースとして説明がなされました。本計画の趣旨、目的、メリット、ユニット制、今後のスケジュールについてなどが説明されました。説明会を聞いた印象では、基本計画中ということもあり現段階では方向性と理解を求めるという程度の二アンスです。保護者からの質問も多数ありましたが、そのほとんどは「検討中」「支障ががないように」「よりより方向性を」という回答のみで具体的な回答は少なかった印象です。そこまで決まっていないのでしょうね。今後具体化していく中でさまざまな課題が出てくるように思います。
実際の工程はわかりませんが計画を見る限りでは、沼影市民プールを解体 > 新設校建設 > 沼影小学校解体のような流れのようです。
沼影市民プール廃止に伴い、大体のレジャープールをどうするかについては結論は出ていないように思います。
また、沼影市民プールは「公園」という位置付けとなるため、沼影地域において公園用地が不足する形になります。その点について旧教職員住宅跡地などを含め、公園用地が検討されているようです。
参考資料
令和2年度第6回(第306回)都市経営戦略会議結果概要
武蔵浦和駅周辺地区小・中学校 過大規模校・大規模校の解消について
義務教育学校建設に伴う沼影公園の今後の利用について
埼玉新聞:武蔵浦和駅の周辺地区で小・中学校を統合 さいたま市教委、小中一貫の義務教育学校を計画 教育の充実図る
武蔵浦和駅周辺地区義務教育学校建設事業について